捨てられないもの

なぜブランド品を売るの?

人それぞれ、物に対する感覚や価値観というものは変わってきます。
ある人には「使えればいい」といったように機能性だけを重視する感覚があったり、またある人には「デザインが良くなければダメ」という感覚もあったり、はたまた「デザインさえよければ使い勝手は無関係」という感覚まで、人間の考え方や価値観というものは千差万別です。

さて、そんな人によって違いが出る価値観ですが、ブランド品に対しても人それぞれ面白いぐらい意識が違ってきます。
ブランド品を購入しても一度も使わず、几帳面に飾ったり並べたりすることを目的としたいわゆるコレクターと呼ばれる人がいたり、「ブランド」という名がつくものなら何でも好きという無類のブランド志向の人がいたり、はたまたブランド品であろうがなかろうがデザインや素材が気に入らなければ、全く興味を示さないような人など、実に様々です。

さて、そういったようにブランド品に関する考え方は、人の数だけ存在していますが、「ブランド品をお店に売る」という行為について考えたときに、基本的な考えかたによってその傾向が全く異なってくるよう気がします。

ブランド品を持っているだけで満足という価値観の人は、おそらくブランド品を売るという感覚は持ち合わせていないことが多いと思います。
やはり、お金と同じように万人にわかりやすい価値という点では、ブランド品であるというだけで所有欲を満たしてくれるとことがあると思います。

それに対し、ブランド品を売るという感覚をもっている人は、ブランドという価値を流動的にとらえているのではないでしょうか。
気に入って普段から身付けて使用しているときには、愛着とともにその所有感がブランドという効力によって相乗しますが、飽きてしまったり使わなくなったりするとその瞬間にブランドという効力も作用しなくなり、「不用品」という感覚で自分の中のそのものの存在価値を転換させてしまうのかもしれません。
これには「プレゼントとしてもらったけれど趣味じゃなかった」というケースにも当てはまるのではないでしょうか。

いずれにしても、ブランド品というものに対するイメージがひとりひとり違うことで市場のバランスが成り立っているといえるのだと思います。